インタビュー④ 仙台赤十字病院 循環器内科 副部長 大橋 潤子先生

仙台赤十字病院 循環器内科 副部長
大橋 潤子 先生


仙台赤十字病院では、責任医師の杉村先生、分担医師の若山先生、そして私の3人が EXPAND study に参加をしています。

EXPAND study は「実地診療下で行う登録観察研究」と言うこともあり、患者さんからの同意取得も非常にスムーズである、と申し上げられます。当初は、私たちにもそれがわからなかったため、10例という目標症例数からスタートいたしましたが、実際に研究を始めてみて、登録のしやすさを感じ、結果的に40例まで症例数追加を行うことになりました。


患者さんに対する研究参加への打診について

当院では、リバーロキサバン服用中の患者さん、またこれから服用を開始される患者さんには、全て声をかけています。そしてそのほぼ全員から、ご参加のお返事をいただくことができています。患者さんへの参加打診は通常の外来中に行っており、我々医師から簡単な説明をした後に、そのまま文書同意、つまり患者さんのご署名をいただいています。これらにかかる所要時間はだいたい10分程度です。


症例登録数を増やすポイント

同意取得のタイミングにあると考えています。

EXPAND study は「実地診療下の登録観察研究」ということで、登録基準や除外基準が厳しく設定されているものではありません。新規に抗凝固療法が必要である患者さんに対しては、最初からリバーロキサバンを服用いただき、処方開始と同時に文書同意を取得するようにしています。また、ワルファリンからの切り替えとなる患者さんに関しては、やはり食事制限が不要になることに対して魅力を感じている方が多く見受けられます。切り替え処方開始した時点で、すぐに文書同意を取得しています。


EXPAND study を実施してみて、医師側から感じること

検査は採血のみで項目も少なく、特に難しいことはありません。患者さんから同意を取得したら、その場ですぐに症例登録を行うこととしています。外来のコンピューターがインターネットにつながっていれば、登録可能です。登録に必要な入力項目は「識別コード」「性別」「生年月日」「リバーロキサバンの処方開始日」「同意取得日」の5つだけなので、2分もあれば登録が完了します。


EXPAND studyは非常に実施しやすい臨床研究と言えます。CHADS₂≦1の患者さんの安全性を研究する等、日本人のリアルワールドにおけるエビデンスを構築することに、私たちは少しでも協力して参りたいと考えています。


仙台赤十字病院

(左より)大橋先生 杉村先生 若山先生