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日本循環器学会学術集会での報告

日本循環器学会学術集会での報告

第79回日本循環器学会学術集会(4月24-26日、大阪、会長:小川久雄 先生)の会長特別企画および共催セミナーにてEXPAND Studyの中間解析結果を報告しました。

会長特別企画「本邦における新規抗血栓薬の新展開」では、本研究プロトコール委員の福田浩二先生がEXPAND Studyの第1報(中間報告)を報告しました。また、ランチョンセミナーでは、プロトコール委員会委員長の東邦大学池田隆徳先生がEXPAND Studyの結果を紹介しました。

これら2つのセッションでは、EXPAND Studyで集積された症例の背景データは、京都伏見区のAF全例調査Fushimi AF Registryとほぼ同じであり、本研究に登録された症例背景は実診療を十分に反映していることが紹介され、その上で、約1年間の予後調査結果が紹介されました。脳卒中または全身性塞栓症の発症率(有効性主要評価項目)および重大出血事象の発現率(安全性主要評価項目)は、開発治験であるJ-ROCKET AF試験の発現頻度に比して予測の範囲内であったこと、また、CHADS2スコア0または1点の患者集団における脳梗塞発症率は他の疫学研究における抗凝固薬無投与集団に比し低値を示していることから、高リスク集団のみならず低リスク集団においても有効性が示唆されることが紹介されました。さらに、クレアチニンクリアランス(Ccr)50mL/min以上の患者集団に対する10mg投与集団の血栓塞栓症発症率は15mg投与集団に比し高値を示し、重大出血は同程度であったことから、Ccrに応じた承認用量の適正な選択が重要である点が指摘されました。


会長特別企画 座 長:草野研吾 先生(国立循環器病研究センター心臓血管内科)
           掃本誠治 先生(熊本大学生命科学研究部循環器内科学)

演 題:Effectiveness and Safety of Rivaroxaban in Patients with Non-Valvular Atrial
    Fibrillation -First Report from the EXPAND Study-
    福田浩二 先生(東北大学大学院医学系研究科循環器内科学)

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共催セミナー(EXPAND Study事務局共催)
座 長:東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学 教授
    EXPAND Study 研究代表 下川宏明

演題1
NOAC前夜、そして登場後の抗凝固療法 ~ 伏見AFレジストリからの考察
  京都医療センター 循環器内科 部長  赤尾昌治 先生

演題2
NOACの実臨床使用におけるエビデンス – EXPAND Study:第1報 –
  東邦大学医学部内科学講座 循環器内科学分野 教授 池田隆徳 先生

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先生方におかれましては、ご診療で大変ご多忙の中、EXPAND Studyへ多大なご尽力をいただいておりますことに重ねて御礼申し上げます。引き続き、本研究へのご協力をよろしくお願い申し上げます。

なお、本研究成果は、今後、順次論文公表を予定しております。公表前となりますのでホームページ上に研究成果を掲載することは控えさせていただきます。

公表データに関するお問い合わせは研究事務局までお願い申し上げます。

EXPAND Study研究代表
下川宏明
(東北大学大学院医学系研究科循環器内科学)