研究について

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研究の背景

心房細動は致死的な疾患ではないものの、心房内の血流鬱滞によって形成された心内血栓が脳血管を閉塞することで重篤な脳卒中を発症させることから、心房細動患者の治療は脳卒中を主とする血栓塞栓症の発症予防が目標となる1)
血栓塞栓症を予防するには抗凝固療法が有効である。心房細動の抗凝固療法としてはワルファリンが標準的療法であることは言うまでもないが、その一方で予防作用の発揮に適切とされるPT-INRに到達するまでに相当の時間を要すること、食事や他の薬物との相互作用によってPT-INRが不安定となること、さらに、出血リスクを伴うこと等から、適切な抗凝固療法の実施において、ワルファリンは患者および医療関係者にとって負担の大きい薬剤である。
このような現状にあって、新規の経口直接作用型第Xa因子阻害剤リバーロキサバンが臨床使用可能となった。本剤は、服用後速やかに抗凝固作用を発揮する1日1回投与の錠剤であり、食事や他の薬剤との相互作用が少ないことから、定期的な抗凝固モニタリングは必要としない。
海外で実施された非弁膜症性心房細動患者14,264例を対象としたワルファリンとの無作為割付二重盲検比較試験ROCKET AFによって、リバーロキサバンの脳卒中予防効果がワルファリンに対して非劣性であることが検証され、安全性については差異がないことが示された2)
日本人の非弁膜症性心房細動患者1,280例を対象としたJ-ROCKET AF試験においても、ワルファリンに対して安全性における非劣性が検証され、検出力は低いものの虚血性脳卒中を抑制する効果を示唆する結果が得られた3)
しかし、実地診療においては、治験時より多様な状況で、さまざまな背景をもつ症例への薬剤投与が行われると考えられる。そこで、実地診療においてリバーロキサバン服用症例について脳卒中発症状況および出血事象の発生状況を集積・分析することが望まれる。

引用文献

1) JCS Joint Working Group., Guidelines for pharmacotherapy of atrial fibrillation (JCS 2008): digest version. Circ J. 2010; 74: 2479-500

2) Patel, MR, et al., Rivaroxaban versus Warfarin in Nonvalvular Atrial Fibrillation; N Engl J Med 2011; 365: 883-91.

3) Hori, M, et al., Rivaroxaban versus Warfarin in Japanese Patients with Atrial Fibrillation -The J-ROCKET AF study- Circ J. 2012; Jun 5. Epub

対象患者

リバーロキサバンが処方された非弁膜症性心房細動患者
※本研究において、非弁膜症性心房細動とは、人工弁置換術の既往あるいは僧房弁狭窄症を有さない心房細動とする。

研究目的

非弁膜症性心房細動患者における脳卒中および全身性塞栓症の発症に対する新規経口第Xa因子阻害剤リバーロキサバンの有効性と安全性を、実地診療下において確認する。

目標被験者数

7,000例

研究実施期間

2012年11月~ 2016年3月
(被験者登録期間: 2012年11月~ 2014年6月)
※ただし、症例の登録状況によっては、登録期間・観察期間を延長する。

研究組織

研究代表者

下川 宏明
東北大学大学院循環器内科学

ステアリングコミティー

下川 宏明
東北大学大学院循環器内科学
新  博次
日本医科大学多摩永山病院内科・循環器内科
井上 博
済生会富山病院
内山 真一郎
国際医療福祉大学臨床医学研究センター
山王病院・山王メディカルセンター 脳血管センター
北園 孝成
九州大学大学院病態機能内科学
山下 武志
公益財団法人 心臓血管研究所
清水 渉
日本医科大学大学院医学研究科
循環器内科学分野

プロトコル委員

池田 隆徳
東邦大学医学部循環器内科学
海北 幸一
熊本大学大学院循環器内科学
鴨打 正浩
九州大学大学院医療経営・管理学
福田 浩二
東北大学大学院循環器内科学

イベント判定委員

心臓領域

栗田 隆志
近畿大学医学部循環器内科学
上妻 謙
帝京大学医学部循環器内科学
西垣 和彦
岐阜大学大学院循環病態学

脳領域

西山 和利
北里大学医学部神経内科学
平野 照之
杏林大学医学部 脳卒中医学講座
星野 晴彦
東京都済生会中央病院内科・神経内科・脳卒中センター

統計解析責任者

松井 邦彦
熊本大学医学部附属病院 地域医療システム学寄附講座

研究事務局

メビックス株式会社内
東京都港区赤坂1-11-44 赤坂インターシティ
TEL:03-6229-8936 FAX: 03-6229-8945
事務局統括:福田 浩二 (東北大学大学院循環器内科学)

データセンター

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モニタリング体制

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