調整委員インタビュー⑦ 東邦大学医学部内科学講座循環器内科学分野 教授 池田 隆徳 先生

東邦大学医学部内科学講座循環器内科学分野
教授 池田 隆徳 先生

池田 隆徳 先生
■現在の登録進捗について、先生のご感想をお願いします。(2018年2月1日時点:794例)
 昨今、数多くの臨床研究が実施されているが、目標症例数1,000例という大規模の試験において月に100例の登録がある本試験は非常に進捗が順調であると感じています。実施計画書を作成する際の試験デザインの設定が上手くいったことが、登録が順調である要因ではないでしょうか。
 また、静脈血栓塞栓症(VTE)の診断としてエコーや血液検査によるD-dimer等が広く知られるようになったことや、日本におけるVTE患者さんの実体を知りたいという参加医師の意思が登録に拍車をかけているのではないかと思われます。参加いただいている医療機関の大多数が1例以上の登録があるのも非常に喜ばしいことであります。日本におけるVTEの実態を検証するのは非常に意義のあることであり、調整委員の一人として早期の目標症例数到達を今後もサポートしていきたいと思っております。

■来院のない患者様に対しても追跡調査を行う重要性について、先生のお考えをお聞かせください。
 本研究のような登録観察研究においては、登録後の追跡調査が非常に重要であり、追跡が不能な症例については欠損データとなり試験としてのインパクトが弱まる可能性があります。その為、電話や手紙等で来院のない患者さんにおいても有効性や安全性に関する情報を聴取し、リバーロキサバンの効果を検証していきたいと考えています。同意を取得する際に来院のない場合にも施設から連絡がある旨を説明した上で同意をいただいているので、追跡調査については積極的に実施いだきますようお願いします。

■新たにご登録を始められるご参加施設へのメッセージをお願い致します。
 昨今、リアルワードルドエビデンスという言葉が認知され始め、その重要性が増してきています。開発試験で出てきた医薬品については、開発データを臨床の現場に適応させる際に判断に迷う場面が出てきます。そのような際に傍観者ではなく当事者として共に日本における深部静脈血栓症(DVT)、肺血栓塞栓症(PE)のリアルワールドエビデンスを創出していきたいと思っております。VTEの大規模臨床研究となりますと、本試験はトップクラスの規模であると認識しています。ご参加いただいている先生方お一人ずつの実臨床下でのリアルワールドのデータが必要になりますので、ぜひ1例でも多くの登録をいただき、ご自身の中でのリアルワールドエビデンスを創出いただきたいと思っております。